現役大学生アミによる 我孫子・柏の居場所レポート⑥-2 ふさ子ども学習室

「現役大学生アミによる 我孫子・柏の居場所レポート⑥-1 我孫子プラス・ワン」に引き続き、我孫子の子ども達の学びを支援している「ふさ子ども学習室」をご紹介します。

「ふさ子ども学習室」ってどんなところ?

ふさ子ども学習室の代表を務めていらっしゃる山下正信さん、そしてふさ子ども学習室設立と運営に大きく貢献した、元教員・公民館コーディネーターの青井眞吾さんのお二方にお話を伺いました。

取材メモと合わせて、ぜひご覧ください。

新木駅前教室の様子

「ふさ子ども学習室」ではどんなことができるの?

 ふさ子ども学習室の大きな目的に関連してできることを紹介します。

目的1:家庭学習の習慣をつける

  • 分からないところを質問できる
  • 元教員の学習支援スタッフさんが丁寧に教えてくれます!
  • 自習場所として使える
  • 宿題や予習・復習、受験勉強の教材、どんな勉強でも結構です。

目的2:子どもたちの居場所になる

  • 学校であったことなどを話す
  • あくまで学習第一ですが、学習だけをする場だけではなく、見守りのシニアスタッフの方とお話をするなど、皆さんにとっての、家や学校以外の居場所としての役割もあります。
おおばん教室の様子
アミ

アミの取材メモ①:ふさ子ども学習室設立の背景

設立に至るまでの裏話

青井さんは、教員を退職された後、ご自身の教員時代の経験から、「子ども達に勉強の習慣をつけてもらいたい」と考え、今(2022年現在)から約6年前に、今のふさ子ども学習室の前身となる、学習支援スタッフのスキルアップのための「白樺塾」をスタートさせたところ、30人近い地域の人たちが集まりました。

「そこで、子どもの学力向上を目的とした無料学習室を設立しようと思いまして、集まってくれた皆さんと共に学習室を作ろうという話になりました。スタートの時には、小中学校を何か所も回ってプレゼンをするなどの苦労もありました」(青井さん)

そうして、今から約5年前に、ふさ子ども学習室がスタートしました。

スタッフ集めの裏話

~広報ではなく、人脈によるつながり~

 山下さんは、以前教育委員会のコーディネーターとして、学校と地域をつなぐ要をされていたり、ふさの風まちづくり協議会の広報部会長をなさっていたりといった、地域に密接にかかわる経験がありました。

 また、青井さんもかつては布佐中学校で教員をされ、現在でも布佐中学校のOB合唱団の指揮者をなさっています。

 そのため、お二方とも人脈が広く、学習室スタッフを募集するとすぐにたくさんの人が集まったそうです。  

「地域の子どもたちのためですから、嫌々ではなく嬉々として沢山の人が集まってくれました。広報ではなく、人脈、人間関係によって繋がっているので、この5年間でスタッフをやめる方はほとんどいません」(山下さん)

「ふさ子ども学習室」ではどんな人が勉強しているの?

生徒数

  • 毎週50人前後

※8つの教室のうちどこに参加してもOK。行き来は自由。※学校で配布する「kidsのチカラ」という広報紙や、口コミ・人脈により学習室を知り、入会する人が多い

住まい

  • 特に南新木や布佐から来る生徒が多い
  • 新木駅前教室は新木小の子が多い
  • 地域の制限はなく、どこから来てもOK

対象

  • 年齢層:小中学生
  • 男女比:6:4で女子が多い
  • 宿題、自習をしたいという気持ちがある方

※参加費は無料です

利用者さん同士の関係性

学習第一のため、ふさ子ども学習室として日常的には各教室間の交流をさせるようなことはしていない。

  • スタッフの方とは非常に仲が良く、学校であったことなどを沢山話している方が多い
アミ

アミの取材メモ②:ふさ子ども学習室会議潜入レポート

―ふさの風教室で行われた、ふさ子ども学習室の定例会議に参加させていただきました。

1. 各教室の現状報告

―会議はまず、各教室の現状を共有することから始まります。現状報告を聞き、特に印象に残ったことがありました。

  • スタッフの皆さんの思い
    生徒さんの様子が変わったことについてすぐに気づき、全体に共有していました。その時、他教室の生徒さんだからと言って他人事ではなく、スタッフ全員で深め合っている様子に、生徒の皆さんを地域全体の子どもとして、大 切に思っていることが伝わりました。
  • 生徒さんが楽しく通えている
    生徒さんから聞いた話題として、学校の愚痴や恋愛の話など、非常にプライベートなものもあることから、学習室は生徒が心を許して過ごせる場所、居場所となっている、と感じました。「今度友達を連れてくるね」と言っている児童生徒さんもいることから、子どもたちが学習室に嬉々として通っていることが分かります。

2.青井さんからの総括

―最後のまとめとして、青井さんからのお話があり、ふさ子ども学習室が掲げる大きな目的を話されました。

 「学習室は、ただ学習習慣のない子どもに勉強を教える、習慣をつけるということだけが目的ではありません。学習室を通して、地域として子どもの日常を見守るということ、また元教員らが無料で学習指導を行うことで、家の経済状況に左右されずに子どもが勉強できるような環境を地域で作るという目的もあるのです」(青井さん)

―ふさ子ども学習室は、地域で子育てを行う場、そして誰も取り残されない学びを実現する場としての役割もあります。

上町教室でのスタッフミーティングの様子

「ふさ子ども学習室」のスタッフさんってどんな人?

人数

51名

年齢層・背景

  • 教員OB 12名
  • 高校生・大学生 5名
  • シニア層の見守りスタッフ 34名
  • 教育に限らず、地域に貢献したいという想いを持っている方が多い
  • 教員志望の学生もいる

スタッフの種類

学習支援スタッフ

  • 教員経験者に限る
  • 勉強を教えたり、生徒からの質問に答えたりする

見守りスタッフ

  • どなたでもなることができる
  • 地域に貢献したいが勉強は教えられないというシニアのスタッフも活躍できる
  • 子どもたちが勉強をしている様子を見守る
  • 子どもたちが話したいことを話せる存在
高校生のスタッフさんが生徒さんを見守る様子
アミ

アミの取材メモ③:迎える側の主役は見守りスタッフ

(カッコ内は青井さんの言葉)

―ふさ子ども学習室を語る上で欠かせないのが、「見守りスタッフ」の存在です。

「子どもたちは見守りのおばちゃんに会うことを楽しみに通ってくれています。おばちゃんたちのスタンスはウェルカムです!子どもたちは学校であったこと等を気兼ねなく話してくれます」

―実際に、私がふさの風教室に見学に行った際、見守りスタッフの方たちが子どもたちを笑顔で迎えている様子が印象的でした。遊び盛りの子どもにとって勉強をしに行くのは嫌々・仕方なくなのではないかと思っていたのですが、子どもたちの方も笑顔で、学校であったことをはつらつと話していたのが驚きでした。

―ですが、ここまで読むと、勉強をちゃんとやるの?と不安に思う方もいらっしゃると思います。その点は全く心配ありません。

「おばちゃんたちは全部受け入れながら話を聞いて、次第に今日の復習をするように仕向けていきます。そして、分からないことがあった時には教員OBである学習支援スタッフの出番です」

―また、ふさ子ども学習室は、子どもにとって重要な力を身につける場所でもあると、青井さんは言います。

「子どもたちは、ふさ子ども学習室に通って見守りスタッフとの交流をすることで、両親と学校の先生とは別の、地域の大人たちと『繋がる力』を自然に身につけていくのです。ですから、迎える側の主役は見守りスタッフなのです」

山下さん、青井さんからのメッセージ

~山下さんから~

 ふさ子ども学習室は現在8つの教室を運営し、元小・中学校の教員ら学習支援スタッフが14人も参加しています。我孫子市の行政とも協働しており、特に社会福祉課、子ども支援課、市教委とは常に連携しています。また、市における学習支援体制をサポートするために、「我孫子市子どもの学習支援ネットワーク」を構築して待望のホームページを作成しました。また、令和4年度から市内の小中学校全てがコミュニティスクールになりました。そうした中、私たち「ふさ子ども学習室」の役割はさらに重要なものになると考えています。

~青井さんから~

「学校に行きづらくなっている子どもたちへ」

学校に行こうとしない子どもたちには、それぞれに個別の理由があります。みんな違います。

 学校って、みんなが同じことを求められるところですよね。同じ時間に一緒のメニューで勉強し、食事もし、行動することを学ばせる場ということになっています。また、そこに学校の意味があるのだというのが一般の考え方です。文科省がいう「集団生活」ってやつですね。

 でもね…。集団生活って、みんなと同じように考えて同じように行動することなのでしょうか。考え方や行動が違う者同士が、時にはぶつかりあってわかり合うという過程が大事にされてこそ、多くの人とつながれる実感が得られるはずですよね。そうして生まれたユニークな集団、他に一つとしてない集団に属することこそが「集団生活」を学べるはずです。

 1つの教室に35人も生徒がいて、先生が1人で対応することが求められては、まずはみんなが席につき、同じ方向を向いて話を聞いてくれないと、何も始まらないと考えます。それも当然のことでしょう。でも、特に中学校なんか、みんなが同じ制服を着て、号令で挨拶するという行動が求められると、それだけで生理的に拒否したくなる生徒だっているんです。

 行けなくなっている生徒には、理不尽な環境で暮らすことを拒否するエネルギーと智恵があるのですね。無批判に集団のなかで埋没していくよりずっと自身の個性を主張している、すばらしい主体性の持ち主だと考えてあげてください。そのエネルギーと智恵とをより伸張できる環境を学校以外に求めることを考えてあげたいのです。

 学習支援ネットワークに集う支援団体もそのなかの1つ。フリースクールでも、放課後児童クラブでもカルチャーセンターでもスポーツクラブでも、学校とは違う人の輪のなかに入れてあげてください。異なった立場の同年代やそれ以外の子ども、そして見守る立場のいろんな大人たちとの出会いは、教科書で学ぶよりもっと大きい学びをもたらしてくれます。

 エネルギーが学校に戻る方に向いたら戻ればいいじゃないですか。もし「安易に出入りするな」などと言うような学校だったら、そこには戻らず別の学校を探せばいいし、進学を機会とすることもできます。相談に乗ってくれる民間の組織は探せば必ず出会うことができます。大事なことは学びを続けること、社会の担い手としての成長を続けてもらうことです。

ふさ子ども学習室

所在地【新木駅前教室】
〒270-1119 千葉県我孫子市南新木2-2-1 新木駅前ウエルシア薬局内
【おおばん教室】
〒270-1104 千葉県我孫子市新々田3—4 図書館前『こばん』裏
【ふさの風教室】  
〒270-1101 千葉県我孫子市布佐2972-1 近隣センターふさの風 第3会議室
【free!塾KAMI-cho】
〒270-1101 千葉県我孫子市布佐2523-2 上町自治館内
【復興会館教室】
〒270-1102 千葉県我孫子市都13-24 ふさ復興会館内
【南近隣センター教室】  
〒270-1108 千葉県我孫子市布佐平和台4-1-30 ふさ南近隣センター内
開室日時【新木駅前教室】毎週火曜日 16時30分~18時30分
【おおばん教室】毎週木曜日 16時30分~18時30分
【ふさの風教室】毎週木曜日 16時~18時
【free!塾KAMI-cho】毎週木曜日 16時~18時
【復興会館教室】 毎週火曜日 16時~18時
【布佐南近隣センター教室】 毎週木曜日 15時30分~17時30分
電話番号04-7185-1113(我孫子市役所健康福祉部社会福祉課)
【新木駅前教室、free!塾KAMI-cho、ふさの風教室、南近隣教室】
080-3471-6640(山下さん電話番号)  
※スタッフ希望の方もこちらにお願いします
【復興会館教室】  
090-3907-8417 (古賀さん電話番号)
【おおばん教室】  
090-7224-3264 (影山さん電話番号)
FAX04-7185-3933(我孫子市役所健康福祉部社会福祉課)
メールアドレス 
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https://www.city.abiko.chiba.jp/kenko/seikatsushien/gakusyuusien.html  

現役大学生アミによる 我孫子・柏の居場所レポートとは

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