【まち活人財たからばこ】大炊三枝子さんにインタビュー

安全・安心な野菜で我孫子を元気に

我孫子市在住の大炊(おおい)三枝子さんは、あびこ農産物直売所とレストランを運営する「株式会社あびベジ」の代表取締役を務めています。地元の野菜普及と農業復興をめざして活動している大炊さんに、事業内容や魅力について話を聞きました。

あびベジは、手賀沼の環境保全をPRする水の館1階にあるあびこ農産物直売所「あびこん」と併設レストラン旬菜厨房「(まい)(まい)亭」を運営しています。新鮮で旬な野菜を提供するほか、市内の小中学校の給食に地元野菜を卸したり、農薬や肥料の使用量をチェックし安全な野菜を生産するための栽培管理をしたりするなど事業内容は多岐にわたります。我孫子の農業を多くの人に知ってもらうために様々なイベントを企画し、地域の活性化にもつながっています。

あびこん開業まで

あびこんが水の館に移転オープンしたのは、2017(平成29)年6月。それまで我孫子新田で農産物直売所アンテナショップを2007(平成19)年6月から営業してきました。我孫子には市内の農産物の販売場所がなかったため、農業をするかたわら仲間と共に農業者団体を立ち上げたのが始まりでした。

アンテナショップを運営すること6年。売れ行きは好調でしたが、出荷する農業者が増えて手狭になり、広い販売場所が必要になってきました。タイミング良く水の館が県から市に移譲されたのを機に、それまで市に要請していた我孫子の農業者だけの拠点施設がようやく整備されました。施設を運営する「株式会社あびベジ」の代表に推された大炊さんは、農家の主婦業が一段落したことも重なって引き受けることを決意したそうです。

あびベジの特徴と魅力

あびこんの野菜はほとんどが地元産ですが、特徴は種類の豊富さです。温暖な気候と、都内に野菜を売りに行っていた行商文化から少量多品目の野菜を生産してきた伝統のおかげです。そのため、店頭にはヤーコンやバターナッツかぼちゃなど珍しい野菜もたくさん並びます。また、一番の魅力は安全・安心に気を配っていること。出荷する農家すべてに栽培履歴をとり、安全な野菜を販売しています。さらに、県が定める慣行栽培基準の農薬と化学肥料を20%以上削減した「あびこエコ農産物」の認証を受けた野菜も取り扱っています。

「直売所の成功には、加工品の充実が大事」、アンテナショップでの経験から感じた大炊さんは、お弁当や惣菜、菓子などの開発や販売にも力を入れています。もちろん、加工品はほとんど無添加なので安全。こだわりは店内加工で、お客さまに安心感を持ってもらえるよう、調理場はガラス越しに直売所から見られるようになっています。週末には野菜を使ったスイーツを販売しており、人気のかぼちゃケーキは野菜嫌いな子どもにも喜ばれ、市外からも問い合わせが来るほどです。

米舞亭では、旬の野菜を使った料理を味わいながら四季折々の景色を楽しめるのが大きな魅力です。手賀沼と利根川に挟まれ、米づくりには欠かせない肥沃で豊富な水源がある我孫子。レストランで提供されるお米もすべて我孫子産で、好評です。軽食のおにぎりは、手賀沼のほとりを散策する人に人気があります。

今後の目標と大切にしていること

経営をゼロから学び、軌道に乗るまでは人件費がかさんだ時期もあったようですが、現在は約40名のスタッフとともに我孫子の農産物を知ってもらうため日々邁進しています。コロナ禍は自炊する人や惣菜などの中食の需要が増えたことから、通常よりもお客さまが多くなったといいます。今後の目標を聞くと、我孫子の農業を守ることだと語ってくれました。そのためには、地元野菜の普及と農業者の収入が増えることが大切だといいます。また、若い農業者を増やし持続可能な農業をめざすため、農業の経験を活かして新規就農者のサポートもしていく予定です。

お客様の気持ちに寄り添ったサービスや品物を届け、多くの市民に喜んでもらいたいと語る大炊さん。「取り置きにも対応しているので気軽に電話していいんですよ」、という言葉通り、リピートしてもらえるような親しみやすい直売所作りをめざしています。取材中に常連さんに声をかけられ、商品の在庫について親しげに話す一幕もあり、常連さんとのつながりを垣間見ることができました。「お客様の笑顔を大切に、そのためには自分たちから笑顔になろう」、その姿勢から感じられる温かいあびこんの雰囲気に、また訪れたいと思いました。

(取材・文/藤久 なお)

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